池上彰さんの記事(コピペ)
楽しかった?
【問】楽しかった?
サッカーをやって戻って来た子どもに、
一番にかけてあげたい言葉。
大人が「楽しかったかどうか」を気にしている、
ということは、それがサッカーをする一番の目的なのだと
伝わることにつながる。
ただし、その直後に勝敗やゴールを決めたかなどを
問い詰めると本末転倒。
■池上さん解説■
「負けたけど、楽しかったよ」
「楽しかった?」と家庭でいの一番に問いかけることは、とても大切です。
その次に「今日はどうだった?」と聞いてください。
試合でゴールを決めたと言えば「どんなプレーだったの?」と聞いてみる。
そこから「最初から考えてたの?」「それが成功したのは初めて?」
などと会話がどんどん広がります。
そうやって自分が大好きなサッカーを、
自分のお母さんやお父さんが興味をもって聞いてくれることは、
子どもにとってうれしいだけではなく、自己肯定感につながります。
「生き生きとサッカーを楽しんでいる自分はこれでいい」という感覚です。
ところが、あまりよいことではないなと思うのは
「今日はどうだった?」と尋ねると、
子どもが「○対○で負け」といの一番に結果を言うことです。
これは、指導者にも多い反応です。
私もクラブのコーチに「どうだった?」と聞く機会は多いですが、
たいがい試合のスコアを伝えてきます。
私はスコアや勝敗などよりも、
選手の状況を詳しく聴きたいと思っているのに。
これが日本のスポーツの現状だと思います。
テストの点数や成績と同様、
サッカーも評価されるもののひとつになってしまっています。
欧州では、試合が終わるとすぐ解散。
コーチは「お疲れさま。また練習場で会おうね」と手を振って子どもを帰します。
次の練習前に「こないだの試合ではここが足りなかったから、
今日はその練習をしよう」と言ってトレーニングをスタートさせます。
試合後に、勝っても負けても延々とミーティングが続く日本とは、ずいぶん違います。
元清水エスパルス監督で育成に詳しいゼムノビッチは
「目の前にシュンとしている子どもがいるのに、
日本の大人はどうしてそんなにミーティングが長いの?」
と憤っていました。
試合に負けると、
たちまちサッカーが楽しいものではなくなってしまう。
もしかしたら、大人のほうがそのような感覚になっていないでしょうか。
「負けたけど、楽しかったよ」
そう言える子どもに育ててほしいと思います。